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お風呂の文化

温泉はなぜタトゥー・刺青お断りなのか

温泉や銭湯でタトゥー・刺青が断られる理由、ルールが変わりつつある背景、「シールで隠せばOK」の意味、タトゥーがあっても温泉を楽しむコツをまとめました。

肩に鯉の和彫りを入れた女性が露天風呂に浸かる様子

足首の小さなワンポイントのせいで温泉に入れなかったら、理不尽に感じるのも無理はありません。ルールが公平かどうかはさておき、その成り立ちを知れば、少なくとも理由は見えてきます。

日本の入れ墨がたどった2つの歴史

日本の入れ墨には長い伝統があります。江戸時代には、浮世絵に描かれた英雄に憧れた火消しや職人、町人のあいだで、全身に彫る華やかな刺青が流行しました。その一方で、幕府は罪人のしるしとして入れ墨を用いてもいました。

明治に入って西洋に門戸を開くと、新政府は諸外国から「文明国」と見られることを重視し、1872年に入れ墨を禁止します。彫師たちはひそかに仕事を続けましたが、禁止令は1948年まで続きました。数十年にわたって違法とされたことで、入れ墨は社会の片隅へと追いやられていきます。

20世紀になると、全身の刺青は暴力団のイメージと強く結びつくようになります。長いあいだ、人目に触れる入れ墨は多くの人にとって「その筋の人」のしるしでした。暴力団員の出入りを防ぎたい施設は入れ墨を一律に禁止し、大型の入浴施設やプール、ジムもそれにならいました。

つまり、お風呂のタトゥー禁止は、もともと墨そのものを問題にしたものではありません。「誰が入れているか」への警戒と、ほかのお客さん、特に子ども連れの家族に安心してもらうためのルールでした。一律禁止は、現場のスタッフにとって最も運用しやすい方法だったのです。

ルールが緩和されつつある理由

  • 観光の後押し。 観光庁は2015年に入浴施設を対象にタトゥーの扱いを調査し、2016年にはタトゥーのある人を受け入れるための工夫を呼びかけました。例として挙げられたのは、カバーシールの活用、時間帯による区分、貸切風呂の利用などです。手のひらほどの小さなタトゥーなら特別な対応を求めない、という例も含まれていました。
  • 街の銭湯はもともと寛容。 銭湯は公衆衛生を担う公共性の高い施設として規制されています。浴場組合も、タトゥーがあるというだけで入浴を断ることはないとしています。
  • 自治体の取り組み。 2019年のラグビーワールドカップに向けて、大分県別府市はタトゥーのある人も歓迎する温泉のマップを公開しました。まずは大分県のページから探してみるのがおすすめです。
  • 若い世代への広がり。 ファッションとしての小さなタトゥーは年々身近になり、一律禁止を時代遅れと考える施設も増えています。

マップの4つの区分

当サイトのマップでは、すべての施設を次の4つに分類しています。

  • タトゥーOK: そのまま入浴できます。
  • シールで隠せばOK: 肌色のシールで隠せば入浴可。大きさに制限があることが多く、受付でシールを販売していることもよくあります。
  • 貸切風呂ならOK: 大浴場には入れませんが、予約制の貸切風呂は利用できます。
  • 入浴不可: 隠していてもタトゥーがあると入浴できません。

シールで隠せばOKは、たいてい「シール1〜2枚で隠れる大きさまで」という意味です。目安は「手のひらサイズ」とされることが多いものの、基準は施設ごとに異なります。温泉では水着やラッシュガードを着られないため、現実的な方法は肌色のシールです。腕全体や背中一面の大きな絵柄は、この方法ではまず隠しきれません。サイズや色、購入場所はタトゥー隠しシールのガイドで詳しく紹介しています。

貸切風呂ならOKの施設では、時間制で貸し切れる貸切風呂を予約するか、専用のお風呂が付いた客室に泊まることになります。実際に利用してみて、大浴場より気に入ったという人も少なくありません。予約の流れは貸切温泉ガイドにまとめています。

タトゥーがある人の温泉の選び方

  1. 出かける前に調べる。 ルールは施設ごとに違うため、現地で確かめる前にマップで調べておきましょう。
  2. タトゥーに寛容な温泉街を選ぶ。 温泉地によって、対応の寛容さはかなり違います。有名温泉街のガイドで、タトゥーがあっても楽しみやすい温泉街を紹介しています。
  3. 街なかなら銭湯へ。 街の銭湯は、最も受け入れてもらいやすいお風呂です。銭湯のガイドもあわせてどうぞ。
  4. お風呂付きの部屋を予約する。 貸切風呂や客室風呂のある旅館なら、そもそも悩む必要はありません。コツは温泉旅館の泊まり方で紹介しています。
  5. 隠しシールを持ち歩く。 使う予定がなくても、1枚あるだけで入浴できるようになる場面があります。
  6. 空いている時間帯を狙う。 深夜や平日など、家族連れが少ない時間帯は対応をゆるめる施設もあります。

受付で確認するときは

ルールは施設ごとに決められており、同じチェーンでも店舗によって違うことがあります。料金を払う前に確認しましょう。断られたら、お礼を言って別の施設へ。スタッフは館内のルールに従っているだけで、個人を否定しているわけではありません。近くにタトゥーOKのお風呂がたいてい見つかります。

よくある質問

小さなタトゥーなら温泉に入れますか?

多くの場合は入れます。「シールで隠せばOK」の施設の多くはシールで隠れる小さなタトゥーを受け入れており、ごく小さなものなら気にしない施設もあります。ただし判断は各施設に委ねられているため、事前にマップで調べるか、受付で確認してください。

銭湯はタトゥーOKですか?

街の銭湯は、日本で最もタトゥーのある人を受け入れているお風呂です。ただし「スーパー銭湯」と呼ばれる大型の入浴施設は別物で、ずっと厳しいことがよくあります。

外国人の友人と一緒なら大丈夫ですか?

いいえ、ルールは同じです。問われるのは国籍ではなくタトゥーです。観光客のタトゥーが暴力団と無関係なことはスタッフもわかっていますが、館内のルールは誰にでも等しく適用されるのが一般的です。

黙って隠して入ったらどうなりますか?

犯罪ではありませんが、退館を求められることがあるうえ、今後タトゥーのある人が入りにくくなる原因にもなります。事前に確認するほうが、誰にとってもよい結果につながります。

シールタトゥーやヘナタトゥーも対象ですか?

スタッフには見分けがつきにくいため、本物のタトゥーと同じ扱いになると考えておきましょう。

タトゥーに最も寛容なのはどこですか?

大都市の銭湯と、別府のようにタトゥーのある人を公に歓迎している温泉地です。別府の施設は大分県のページで、全国の施設はマップでご覧いただけます。